IPPNWに参加して 福井大学5年 橋本 日実子
IPPNWとはInternational Physician for Prevention of Nuclear Warの略で、核戦争防止国際医師会議のことです。今年は3月8日から11日までインドで開催されました。インドといえば1974年に核実験をして、核兵器を持っているとされている国です。私はなぜ今インドでIPPNWが開催されるのかとても興味を持ち、今回参加させていただきました。
関西空港から期待と不安を乗せていざ出発したのはいいものの、航空機のエンジントラブルでインドではなく香港に1泊する事になりました。香港では1日中ホテルに缶詰状態で、このままインドに着くことができないのではないかという不安もありました。約1日遅れで飛行機が飛び、インドに到着した時には機内で拍手がおきました。成田出発組に遅れること約1日、ついにインドに到着しました。
インドに着いてバスで移動していると、すぐに貧富の差に気づきました。車内から窓越しに見る豪邸、そしてその先で道路に寝ている人々がいます。今年世界長者番付10位以内に4人インド人がランクインしました。しかしその中で、1日1ドル以下で暮らす人がインドの人口の約3分の1いるという現実を痛感しました。またインドには不可触民と呼ばれる人が1億人ほどいると言われています。不可触民とはカースト制度にも入れてない人たちのことで、触るのも汚らわしい存在と言われています。マハトマ・ガンジーはこの不可触民と呼ばれる人たちの地位の向上に努めましたが、未だにインドでは不可触民と呼ばれる人達に対する差別が根強く残っています。インドの貧困問題は思ったよりも深刻で、「マネーマネー」と近づいてくる小さな子供にお金をあげていいのかどうか、滞在中ずっと心に引っかかっていました。
IPPNWの大会はとても楽しかったです。私はドイツの学生が発表した『貧者のための薬剤問題』という分科会に行きました。分科会の内容は、製薬会社は薬を独占的に高く売るため、その薬を必要としている発展途上国の人々には高すぎで買えないということが多くおきており、もっとジェネリック医薬品を増やしていくべきだと訴えていました。ドイツの学生は英語がとても堪能で、医師と製薬会社の関係を皮肉ってみたり、冗談も交えつつ観客をひきつけてプレゼンをしていました。外国の学生の意識の高さに触れ、とても充実した分科会でした。
また大会中のパーティなどの交流では、片言の英語ですが多くの方と話ができて楽しかったです。特にインドの方は親日的な人が多く、向こうから話しかけてくれることが多かったです。また同世代のモンゴルの女の子たちとも話しましたが、彼女たちも英語がぺらぺらでとてもいい刺激を受けました。余談ですが私は‘モンゴリアン’が‘コーリアン’に聞こえて最初韓国人と思って話していました(笑)。多くの人と交流できたことがIPPNWに参加した中で何よりも楽しかったです。
実際にインドに行きIPPNWに参加してみると、今回IPPNWがインドで開かれた意味が少し分かった気がしました。インドの方が講演の中で、「私たちの国は核兵器をもっています。しかし私たちはそれを恥じています。」と言っていました。核兵器を持っているからこそ、核に対する思いも強いのかなと思いました。IPPNWでは本当に多くの刺激を受けることができ、学生のうちに参加できてよかったです。最後になりましたが、今回IPPNW参加にあたって多くの方々の支えや協力をいただき本当に有難うございました。